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クボタが取り組む7つの研究室 「クボデジ・オーソリティ」

ベルトスケールの進化 ~メカ式から電子制御式への移行~

ベルトスケール(*脚注)の「輸送量積算方式」の進化について説明します。
普通「進化」というと、なにか原始的なものから高度なものに変化
していくような印象を受けます。 今月も「今昔物語」として「昔」の
製品と「今」の製品を対比させますが、実は昔の製品もとっても
すごいんです! 今回は現在の製品から紹介しましょう。

ロードセル式ベルトスケール 【現在の製品】

<<荷重検出部とベルト速度検出部>>         <<輸送量積算計KF-C2000>>

<<ロードセル式ベルトスケールの輸送量積算原理>>

ベルト上の原材料が荷重検出部を通過する際、ロードセルに
より単位長さ当たりの重量値(kg/m)が検出されます。
その一方で、ベルトの速度(m/h)が検出されます。 この重量値
とベルト速度をコントローラで掛算して瞬間流量を算出します。
さらに、瞬間流量を積分することで累計輸送量が得られます。
これらの処理フローは、すべて電気的な信号を演算処理し、
時間軸で積分処理することで可能になります。 しかし電子制御
が定着する以前のメカ制御の時代には、どのような原理で
輸送量を積算していたのでしょうか?

メリック式ベルトスケール 【40年前の製品】

  
              <<累積装置>>       <<メリック式ベルトスケールの荷重検出機構>>

荷重検出のメカニズムについては詳述を避けますが、ベルト上の
原材料の重量が吊棒を介して槓桿(こうかん)を傾け、その傾き
に応じて累積装置内のディスク(円盤)を傾けます。 ここからが
ミソです。

まだ電子制御機器による演算処理が実用化していなかった頃、
先輩たちは、「重量を回転運動に変換する」という英知で、輸送量
を積算することに成功しました。
ディスク上には31個のローラが配置してありクルクル回ります。
そしてディスクの側面にはエンドレスベルトがローラと接する
形で一定速度で回転しています。

                    <<累積機構>>

                 <<ディスクとエンドレスベルトの関係>>

無負荷状態でディスクが直立しているときには、ローラと
エンドレスベルトは垂直に交わっており、ローラが空回り
するだけでディスク自体は回転しません。 しかし、荷重を
受けてディスクが傾くと、ベルトの回転力は傾き角(θ)の
正弦(sin)に分解されディスクを回転させるよう作用します。

ディスクの回転速度は、傾きが大きくなるにつれ、つまり
荷重が大きくなるにつれ早くなっていきます。 ディスクには
重量の目盛りが付してあり、回転数をカウンタで累計する
ことで輸送量を積算する仕組みです。


         <<目盛りとカウンタ>>

いかがでしょうか? 今回は電子制御が定着する前に、優れた
原理で輸送量を積算する製品をつくりだしていたことをご紹介
しました。
なお、メリック式ベルトスケールは、メカ的な摺動部分が多く、
メンテナンスに手がかかるという面があり、その後メンテ
ナンス性に優れるロードセル式ベルトスケールに移行していきます。

*脚注;
この研究室では「ベルトスケール」と表記しましたが、はかり工業会の製品区分
では「コンベアスケール」と呼称しており、現在クボタでもカタログ表記をはじめ
「コンベアスケール」という呼称に統一しております。 今回の記事を公開するに
当たり、以前は当社では「ベルトスケール」と呼称していた時代があり、旧機種と
現行機種を対比させる都合上、あえて「ベルトスケール」と表記しております。