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研究室

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クボタが取り組む7つの研究室 「クボデジ・オーソリティ」

計量強調月間(11月)行事のご紹介

先月号のメルマガでご紹介したとおり、11月1日が『計量記念日』、
11月度は『計量強調月間』です。今月は各都道府県の計量検定所を
はじめ、計量行政を管掌する部署の主催で『計量』にまつわる様々な
行事が催されました。行事の内容は自治体ごとに変わりますが、この
機会に一般市民の『適正な計量』に関する理解をさらに深めていただく
のが主たる目的であることには変わりありません。ここでは、大阪府
吹田市の主催で催された『暮しと計量展』を取材しましたので、その
展示内容を紹介します。市役所1階ホールに設けられた展示会場には、

 ① 計量器展示コーナー
 ② パネルコーナー
 ③ 計量クイズコーナー

があり、担当課の職員さんが来庁された市民の皆さんに盛んにお声を
掛けられていました。

          <<会場の様子>>

計量クイズコーナーで行われていた「お菓子の重さ当てクイズ」について
はクボデジくんが紹介していましたね。
(「お菓子の重さ当てクイズ」の様子 ⇒ http://kubota-hakari.net/p.php/5/24/108/

また、パネルコーナーで掲示されていた『量目制度』や『特定計量器の
定期検査』等については、すでに研究室で取り上げました。
 『量目公差』について ⇒http://kubota-hakari.net/p.php/6/5/82/
 『特定計量器の定期検査』についてhttp://kubota-hakari.net/p.php/6/2/18/

そこで、ここでは計量器展示コーナーに展示されていた計量の歴史を巡る
貴重な計量器についてご紹介しましょう!


    <<長さ計の歴史>>        <<体積計の歴史>>        <<質量計の歴史>>

大変貴重な展示品なので、個別に少し詳しく説明します。

■長さ計
メートル原器

現在では、1メートルの定義は、1秒の299,792,458分の1の時間
(約3億分の1秒)に光が真空中を伝わる距離と改正され、物理量に
よる定義に変わっています。しかしながら1960年以前は、この
原器が1メートルの基準となっていました。H形の上下を拡げた
ような断面形状をもつ白金とイリジウムの合金です。

基準巻尺

長さ基準器として現在でも使用されています。(基準器検査規則29~34条)

■体積計
穀用ます(左)と一斗ます(右)

いずれも昭和30年頃まで使用されていた米麦、穀物用の計量器です。
尺貫法のため現在では使用されていません。

旧ます用検定器

この検定器のなかにはガラス製のフラスコが入っていて、木製の
カバーの切欠き窓から目盛が見えます。検査する「ます」で水を
正確にはかり、その水をこの検定器に移し替えて合否を判定して
いました。単位は尺貫系(升、合、勺)を使用していました。

■質量計
(左から)銀秤、棹秤、吊秤(2点)、木桿

銀秤:棒はかりの一種で貴金属の取引に使用されていました。この
銀秤は匁(もんめ)の単位によるもので、現在では取引証明に使用
できません。
棹秤:江戸時代に使用されていたもので、棹の材質は象牙が使わ
れています。
吊秤:モノをぶらさげてはかるバネ式のものです。左のものは
50kgまではかることができます。
木桿:てこの原理を用いたはかりの代表的なもので、構造が簡単、
携行に便利などの理由で古くから使用されてきました。

貫目盛はかり(左)と上皿桿はかり(右)

貫目盛はかり:尺目盛とグラム目盛が併記してあるはかりです。
上皿桿はかり:機械式の代表的なはかりです。構造が単純な割り
に精度が高く、丈夫で安定していることから、現在でも使われて
いるところがあります。

最後にこの「貫目盛はかり」に注目してみます。このはかりでは、
尺貫法の「匁」目盛と、メートル法の「g」目盛が併記されています。↓


「匁」というのは非法定計量単位(非SI単位)ですから、これを
取引証明に使用することは計量法で禁止されています。(真珠の
計量のような「特殊の計量」に使用する場合を除く)(計量法第8条第1項)
【ご参考】計量法クイズ第1問 http://kubota-hakari.net/p.php/6/2/73/
そして非法定計量単位(匁)による目盛を付したはかりは、たとえ
法定計量単位(g)が併記されていたとしても、これを販売すること
は禁止されています。(計量法第9条第1項) したがって、展示品
の貫目盛はかりは、現在では販売することができない貴重なはかり
ということができます。

今回は吹田市主催の「暮しと計量展」で展示された計量器の歴史を
物語るはかりをご紹介しました。