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研究室

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クボタが取り組む7つの研究室 「クボデジ・オーソリティ」

ストレインゲージ誕生秘話

ロードセルは、他の荷重センサと比べて、構造が単純・頑丈で、起歪体
(エレメント)の形状を変えることにより小ひょう量から大ひょう量まで
幅広いキャパシティをカバーできるため、もっとも普及した荷重センサ
です。 そして、その広い守備範囲を可能にしたのがストレインゲージ
(Strain gauge)なのです。 ストレインゲージ式ロードセルの原理に
ついては以前にご紹介しました。http://kubota-hakari.net/p.php/6/1/19/
ここで、クボタで使用しているストレインゲージの一例を示します。

この小さなストレインゲージを起歪体に接着する訳ですが、同じゲージ
でも大きな起歪体に接着すれば大きな荷重センサに、小さな起歪体に接着
すれば小さな荷重センサになります。この点がロードセルの守備範囲を
拡げるミソなのです。 今回はストレインゲージを考案、発明した2人の
アメリカ人にスポットを当ててみます。

ひとり目はマサチューセッツ工科大学の地震工学者、ルージー氏です。
(Arthur C. Ruge 1905-2000) 1933年にカリフォルニア州を襲った
ロングビーチ大地震は甚大な被害をもたらしました。適切に設計され
補強された建築物を除いて、ほとんどの建築物は倒壊など壊滅的な
ダメージを受けました。 そこで地震工学者のルージー氏は耐震建築
の研究、とりわけ給水塔を地震の被害から守る研究に取り組み始め
ました。 実験室に給水塔のレプリカをつくり、油圧で地震の揺れを
再現するうち、実際に給水塔にどれくらいのストレスがかかるかを
計測する必要性に迫られます。 これがストレインゲージを考案する
原動力になるのです。

1938年4月3日、突然ルージー氏の脳裏にヒラメキが生じます。
生まれたアイデアは給水塔の表面にタバコの巻き紙を貼り付け、その上
に4本の小さな電線を貼り合わせるというものでした。 電球に使われ
ているようなタングステンフィラメントを4本ひし形に組み合わせただけ
の単純な構成でしたが、そこに電流を流すと通常時は電圧が検出され
ないものの、ストレスを受けてひし形が変形すると、そのストレスの
強さに比例した電圧を出力しました。 これが現在の「ホイートストン
ブリッジ」の原型です。 後にルージー氏は、これに改良を加え商業化に
も成功し、アメリカで初代の地震工学の教授に就任することになります。

ふたり目は、カリフォルニア工科大学の電気工学者、シモンズ氏
(Edward E. Simmons 1911-2004)です。 実はルージー氏の発明の
直前に、衝撃試験の記録をとる必要から、シモンズ氏がストレイン
ゲージを発明していたのです。 ですから最初の発明者はシモンズ氏
ということになります。 しかしながら、ほぼ同時ということから、両氏
がストレインゲージの発明者として並び称され、その特許の権利も2人で
分かち合いました。 ほぼ同時に、全く別な研究の必要性から、同じ発明
をするなんて奇遇といえますよね。 商品化したストレインゲージの商標名
は”SR-4”、SimmomsとRugeと助手たち4人組という意味で
名付けたそうです。 なお、シモンズ氏はエキセントリックな人物として
よく知られ、ほとんど中世の服装に女性用のサンダルを履き夜中に徘徊し
たり、全裸で徘徊して警察に何度も連行されるなど奇行が多かったそうです。
天才ならではの行動でしょうか?