クボタはかりネットへようこそ!!はかりしれないはかりの話。愉快な仲間がお届けします

研究室

研究室

クボタが取り組む7つの研究室 「クボデジ・オーソリティ」

デジタル台はかりの進化 電池寿命を伸ばす低消費電力化技術

バッテリー式デジタル台はかりの低消費電力化技術について少し
解説します。
まずはクボタ製品の変遷について見ていきます。
<機種>     <電池寿命>   <使用乾電池>
(アナログロードセル世代)
KL-10     約200時間  マンガン単2×6本
  ↓
KL-10N    約250時間  マンガン単2×6本
  ↓
(デジタルロードセル世代)
KL-100   約1000時間  マンガン単1×6本
  ↓
KL-100N  約1800時間  アルカリ単1×6本
  ↓
KL-100NR 約1800時間  アルカリ単1×6本
  ↓
KL-100NX 約2000時間  アルカリ単1×6本

アナログロードセル世代の省電力化への取り組みついて説明します。

クボタが力センサーとして製造してしているストレインゲージ式
ロードセルは、他の方式の力センサーと比べて原理的に最も電力
を消費します。当社が採用する350Ωのタイプのロードセルに12Vの
印加電圧を連続して加える場合、入力側の補償抵抗(70Ω)を加味
すると常時28mAの電流がロードセルで消費されます(420Ω÷12V)
さらにロードセルの信号をAD変換(デジタル→アナログ)を行う
指示計のマイコンの消費電力も大きく、はかり全体で常時消費される
電流の合計は約40mAにも及びます。これでは40時間前後の電池
寿命(マンガン単2×6本)しか確保できません。そこで、開発者は、

① ストレインゲージの抵抗線ブリッジへの電圧印加を、従来の
連続励磁方式から両極性のパルス励磁方式に変更


② CPU演算回路に、メーカーと共同開発した低消費電力の
1チップマイコンを採用


を実現することにより、消費電力を4分の1以下に押さえ込むことに
成功しました。これらの技術的ブレイクスルーがあって初めて、実用
レベルでの電池寿命(約200時間)を誇るバッテリー式デジタル台はかり
を世に送ることができた訳です。

さらにデジタルロードセル世代に移行しても、このパルス励磁方式は
維持されます。ただし、インテリジェンスを有するデジタルロードセル
は、指示計からの指令ではなく自ら間欠運転する機能を備え、一層の
省電力を可能にしました。さらに使用するICを徹底して低消費電力
タイプに置き換えることにより、飛躍的に電池寿命を伸ばすことに
成功しました。(約1800時間)

さて、最新機種であるクボエコシリーズ KL-100NXでは新たな
試みに挑戦しました。KL-100NXでは高抵抗ストレインゲージを
採用することにより低消費電力化に成功しています。従来の350Ω
ではなく、4.5kΩ(4500Ω)のゲージを採用することにより、連続
励磁しながらも電池寿命を約2000時間にまで伸ばしています。
抵抗が大きくなれば、流れる電流は少なくなるという自明のロジック
ですが、それを実現するためには、さまざまな技術的ハードルをクリア
しなければならなかったことは言うまでもありません。

電池寿命を伸ばすことは、コスト削減や作業効率向上はもとより、
昨今では廃乾電池量を削減することから、「環境にやさしい」製品
として評価される向きがあります。クボエコシリーズデジタル台はかり
も多くのお客様から「環境配慮型製品」としてご好評を頂戴しており
ます。今回は、電池寿命を伸ばすために、開発者が不断の技術革新
の努力を続けていることを少しだけ紹介しました。