この研究室では何度か計量法を取り上げて参りました。
しかし、まだまだお客さまの計量設備の実用に役立つような
情報提供ができているとは考えておりません。
ドクター・Nがお話しておりました通り、コンプライアンス
(法令順守)の時流に沿って、確実に、しかしポイントを
絞って計量法をご理解いただくことが必要と思います。
この研究室では、繰り返し、計量法に関するご説明を
させていただき、お客さまのお役に立てるよう努めて
まいります。
さて、計量法を理解いただくために、
①計量法の目的
②計量関係法規の歴史
の2点について今一度整理しておきたいと思います。
①計量法の目的 (計量法第1条に記載)
この法律は、計量の基準を定め、適正な計量の実施を
確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与する
ことを目的とする。
・・・子供の頃、ちょっと意地悪なクイズがありました。
『鉄1kgと綿1kgではどっちが重い???』
「一緒」というのが答えでした。
体積が異なり、もちろん比重も異なるので”体感的”
には鉄の方が重いのかもしれませんが、質量が一緒な
らば両者は同じ、というもの。
A社とB社が重さ(質量)で取引を行う場合、A社の
「1kg」とB社の「1kg」は同じでなければなりませんね。
そのためには、単位を統一し、質量標準を適正なものに
する必要があり、この役割を担っているのが計量法なのです。
②計量関係法規の歴史
日本社会発展の歴史の影に「度量衡」の発展が垣間見えます。
(以下、歴史変遷の抜粋にて)
701年(大宝元年) 大宝律令が公布され、日本における度量衡制度が始まる。
1886年(明治16年) 日本がメートル条約に加盟
1891年(明治24年) 度量衡法の制定
1951年(昭和26年) 計量法の公布
この後、メートル法の適用範囲拡大や電気測定法との
整合などの部分改正を重ね、
1)計量単位の国際単位系への統一
2)指定製造事業者制度の導入
3)トレーサビリティ制度(JSCC制度)の導入
などを旨として大幅改正になりました。
1993年(平成5年) 計量法改正
これを一般に「新計量法」と呼んでいます。
しかしさらにこの後、OIML(国際法定計量機関)の
勧告に従い、法改正が実施されました。
2000年(平成12年) 計量法改正
これは「改正新計量法」と呼び分けられているのが一般的なようです。